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メンタルキャンパスはどんなサイト?

メンタルキャンパスはどんなサイト?

メンタルキャンパスは、精神科医あきが、「この世の中の人が少しでも穏やかに過ごせるために」という想いをもって、いろんなヒントを書き留めるために作ったブログです。

ふとした時に読んで、「あぁこういう考え方を精神科医はするのか」「こうしてみると良いのか」などと、心が和らぐ記事を作っていきたいと考えています。

また、あきが提供するマインドフルネス講座、MBSR、メンタルコーチング、心のメンテナンス面談などの発信場所としても活用いたします。

心や精神のことを知りたくなった時に、「人に出会ったり」「勉強したり」「いいものを紹介してもらったり」「サークル活動をしたり」できるような、大学のキャンパスのような場所を作りたいと考えています。

運営者はどんなヒト?

1989年(平成元年)生まれ。私立中高で過ごしたのちに、京都大学医学部を卒業、研修医を京都で行い、田舎の総合病院に精神科医として4年勤めました。2021年より大学院生になり、画像研究や自尊心の研究を行います。

中高はギターを弾いたり、卓球をしたりの普通の学生を行い、大学では英語スピーチ、茶道などの部活を通して、人前で話すこと、美しい所作を磨くことなどに、時間を費やしていました。

精神科を目指したのは、何故だか正直覚えていなかったのですが、後述するように、自分がどこか抱えていた苦しみをなんとか理解し調整したいと考えていたからなのだと思います。

精神科では、統合失調症、うつ、双極性障害、発達障害、摂食障害、人格障害、あるいは児童症例など、地域の急性期疾患を全て見る病院で働いていました。難治の患者さんに使う電気けいれん療法やクロザリルというお薬などの生物学的な治療から、動機付け面接、マインドフルネスなどの精神療法、はたまたコーチングなどの精神科治療とは少しずれたところまで幅広くたくさん取り組んできました。患者さんとの面談は(もちろん短いものもありますが)のべ10000回は行ったと思います。現在も、ペースは落としつつも外来診療を行い、同時に大学院に進み研究へシフトしているところです。資格としては、オーソドックスなところとして精神神経学会専門医、精神保健指定医を取得しています。

なんでこんなサイト開いたの?

以下では、私が、メンタルキャンパスという場所をどんな想いで作ったのかをお伝えすべく、自分の話を少ししようと思います。

青空

昔から、透き通った綺麗なものが、大嫌いでした。
真っ青な空を見て、「最高の天気だね」という友人に、「イラっとする空だね」と返していた自分。「なにそれ」と笑われたら、「君にはこの感情が理解できないのか」と、まるで自分が高尚な気持ちを持っているかのように返答していました。 

透き通ったもの。
苦労を知らなさそうなおぼっちゃま、澄んだ肌の高学歴イケメン。
毛並みの揃った高級そうな猫、広いお庭にすむゴールデンレトリバー。
ゴミひとつない大理石の床、水平線まで続く海。

みんなみんな、大嫌いでした。虫酸が走りました。唾を吐いてやりたい気分にされました。きっと、10人に2人くらいは、この感情を共有してくれる人がいるんじゃないでしょうか。

でも、ある日、実は空は快晴で、中庭から空を見上げた時、「あぁ、綺麗だな、写真でも撮ろう」と、感じている自分に気付きました。素直に美しさを受け止め、あぁ、今までの自分と、違うな、となったのでした。
なぜ僕は変わったのでしょうか
 


思えば、自分は昔から、一番にならないといけないと感じて走り続けていた人間でした。
小学1年生のとき、93点を取ってルンルンとしていると、隣の強気な女子が91点だったようで「100点じゃなかったら93点でも91点でも一緒や!」と叫んだのを覚えています。なんじゃこいつ、と思いながら、意気揚々と家に帰って、母にそのエピソードを話しました。すると、ところがどっこい「その通りや、100点やなかったら93点でも0点でも一緒や!」と返されたでした。
あぁ、この世で生きるためには、自分は100点を取り続けないといけないのか。若い頃から、そう感じて生きてきました。
 
この指導方針は、確かに自分が一般的にいう「良い学歴」を持ち、人生での苦労を減らせた面は、一定の効果があると感じる部分もあります。悪い面ばかりではなかったでしょう。
しかし、ここで減らせた「苦労」は社会的なものだけで、僕の「苦労」は、心の内側から、ずっと棘を出して、突っついてきたのでした。
 
名門の私立校に入ると、友人はみんなたくさんの才能に溢れていました。史上最年少で気象予報士の資格を取った同級生がいれば、「あんなのは今有名になるだけで意味がないよね」と言ってみたり。スポーツで表彰される友人がいたら、「まぁこの進学校でスポーツが強くてもね」なんて蔑んでみたり。人の喜びを妬むように、いつしかなっていました。
 
なんとか成績を自分の支えにしていた自分は、それなりの大学に進み、拗らせ続けた心のままに、医者になりました。でも、この心の棘を抜きたい、どうにかしたい、そういう思いが潜在意識にあったのでしょうか、精神科医という道を選びました。精神科医になった後も、できる限り人より前を行こうとする自分がいました。最短で資格を得られる道を選び、誰よりも上手く患者を治療しようとしました。
 
でも、限界がきました。

僕にしか救えない、と感じていた患者が、自殺したのでした。

 
周りには、「医者にとって、どうしても患者を救えないことはあることだから」と慰められはしました。
精神科医になる上で、わかっていたつもりでもありました。いつか、救えずに亡くしてしまう患者がいることも。
でも、その患者がなくなってしまったことは、患者がなくなったこと以上のダメージを僕に与えました。いま言語化するならば、この時、心に感じたのは、「患者が救えない君は、優れていないのだ」というメッセージだったと思います。
 
 
僕は一気に脱力して、そして、何かの力を借りたくて、マインドフルネスの講座に申し込みました。
最初は、患者への治療法の足しになれば良いか、という思いで申し込みました。しかし、そこで頭を無にしながら、自分に向き合う時間が、本当に大切だったと今感じています。
 
 
マインドフルネス瞑想では、まずは頭に浮かんでくる不安や恐怖に注目せず、ゆっくりと呼吸に意識を向けることから始めます。「これで上手くできているのかな」なんて感じても、あるいは、「こんなことして意味があるのかな」という思考も、浮かんできたら、そっと手放して、また呼吸を感じ直します。その繰り返しを行うことで、思考や感情に振り回されないように準備します。
瞑想に慣れてくると、講師が、いろんな質問を瞑想中に投げかけてきます。その中で、一番に、今でも心に残っている質問が、これでした。
 

「あなたのことを本当に大切にしている人がいて、あなたを優しく受け入れてくれる言葉をかけてくれます。それは、どんな言葉ですか」


 
 
皆さんも是非、今ここで、自分に問いかけてください。実在しない人でもよいので、あなたのことを本当に大切に思ってくれている人が、あなたをしっかりと抱きしめてくれている。そして、あなたのことを、大切だ、という気持ちをこめて声をかけてくれるとしたら、どんな言葉でしょう。
 
 
 
 
僕の頭に浮かぶ言葉は、決して「優れていなさい」とか、「人より前にいなさい」とかではありませんでした。


「あなたは十分頑張っているから、自分がしたいことを、のんびりと自分のペースでしたらいいよ」


 
あぁそうか、僕は、優れていたんじゃなかったんだ。人と比べていたいんじゃなかったんだ。自分を思いやれていなかったんだな。
そう感じられた僕の顔には、暖かい、一筋の涙が、流れていました。
 
 
いま思い返しても、その日から僕は、少し変わることができました。
美しい情景を、そのまま美しいと感じられるようになりました。
庭先の可憐な花を、あぁ可憐だな、と感じました。
そして今日も、青い空を、綺麗だな、と、愛でる事ができました。
 
自分を大切にしてくれる内なる声が、自分の棘を削り、本来の感情を取り戻してくれた、枠をそっと外してくれた。そんな感じがしました。


青い空が嫌いでした。それは、自分にないものを妬み、人よりも優れようと感じていたからでした。

 

人と比較ばかりする生き苦しさを、少し手放せたのは、マインドフルネスに出会い、自身のこころを見つめ、大切にするきっかけを得たからでした。そして、世界が少し、優しく見える様になりました。

優しさ

みなさんも、生きていると、世界が優しくない、苦しい、と感じることがあるでしょう。それでも生きていく私たちが、何か心和らげられたり、心を縛る苦しみを手放したりすることができる、そんなヒントを得られる場所を作る。それが自分がしたいことなのだ、と、感じています。

メンタルキャンパスは、精神科医である私、安藝 森央が、精神医療に携わった経験や学んできたことをみなさんに還元し、よりたくさんの人がこころと向き合い、優しくなれるヒントとチャンスを提供できる場所にしたいと考えています。

 

 

「あなたを大切にしてくれる人は、どんな声をかけてくれますか」

僕がその言葉を聞いて、少し世界が変わった様に、皆様がメンタルキャンパスの記事を読んだり、コースを受けたりすることを通して、こころをみつめ、優しくなれるきっかけを掴んでくれたら嬉しいです。編集が遅々として進まないこともあるかと思いますが、水をやって植物が大きくなるのを待つ様に、ゆっくり見守って下されば幸いです。

 

2020年12月 安藝