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マインドフルネスに学ぶ、生き方のコツ ③初心を忘れないこと

一輪の花

こんにちは。精神科医の安藝です。

マインドフルネスに学ぶ、生き方のコツ 3つ目 初心を忘れないこと、にいきましょう。

昔から「初心忘るるべからず」みたいな言葉を聞くことはありますが、一体それはどういう意味なのでしょう。私たちの生活と、どう繋がっているのでしょう。

目次

初心を忘れないこと

私たちは、一度経験していることを行う時、「これは知っている」「これは理解している」「もうできる」と思うことがあります。しかし、それは本当に目の前のことを真に理解しているでしょうか。「知っている」という思い込みのせいで、対象の本当の姿が見えなくなってしまうこともあるのです。

例えば、あなたは、親しい人のことを、会うたびにどんな目で見ているでしょう。自分の思い込みで「この人はこういう人だ」と思うことで、その人の知らないことを知るきっかけをなくしていませんか。

「知っている」「理解している」「もうできる」というのは、一つの評価とも言えるわけです。知っていると考えた瞬間、自分の経験や記憶というメガネを通して見てしまいます。すると目の前のことを、そのままの姿で捉えられません。

目の前の花は、去年も同じように咲いた花だとしても、1年経って、いろんな栄養やいろんな日差し、雨風を受けて生き延びて、また咲かせた花です。きっと同じように見えて、大きさや、色形がほんの少し違うかもしれません。記憶と正確に比較することができなくとも、今まさに、始めてその花が咲いたように感じることで、たった一輪の花でも、あなたは心を和らげ、嬉しい想いに浸ることができます。

目の前の問題は、かつてと全く同じものに見えても、その問題を解決に導くあなたの状態は変わっていますし、知識や周りの環境も変化しているでしょう。おんなじことが起きている、同じようにすれば解決する、ではない可能性も多々あります。知っている、理解している、もうわかっている、という思いを離れることで、目の前の問題の真の姿を眺める手助けになります。そして、本当に必要な解決策や、態度にたどり着くこともできるでしょう。

一度経験していることでも、また始めて出会うかのように対面してみる。子供が始めてそれに対面した時のように、好奇心を持って、評価を捨てて、真剣に取り合ってみる。そうすることで、また新たな気づきや、楽しみ、嬉しさに出会える可能性が上がるのです。

 マインドフルネスの根底にある、禅の言葉に “ Zen’s mind, beginners’ mind”というものがあります。アメリカで禅を広げた鈴木俊隆という人の言葉です。いつも初めて行う気持ちで行います。同じ瞬間は二度と訪れず、今という一瞬は、実際に本当に初めての状況です。

 日々の呼吸も、ふとした瞬間の友人との会話も、その瞬間は今しかない、だからこの瞬間に止まる、ということをトライしてみましょう。自分の思い込みに触れる前の形を、いつも感じてみましょう。

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